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2008年03月14日 - 漆のあいうえお

■ネーミング

名前はとても重要です。動物だって名前を呼べばこっちへ来ます。何かで読んだ実験で、子どもたちを集めて二匹の豚と遊ばせ、途中で一匹に名前をつけ、最後に「これからみんなで豚を食べるんだけど、どっちを食べる?」と質問すると、子どもたちは例外なく名前をつけなかったほうの豚を選んだ、というのがありました。

何を言おうとしたのか忘れそうになりましたが、私は古くからの商品名のつけかたを避けています。古くからのつけかたは「木の種類+サイズ+カテゴリ+色」といったもので、たとえば「欅六寸干菓子盆黒」といった感じです。さらに場合によっては仕上げや蒔絵などが末尾につきます。

ものすごくわかりやすいです。しかし、欅六寸干菓子盆黒という名前の商品は、どこにでもあります。それらは同一でも類似でもありません。かたちが異なります。ケヤキを使った直径18センチの干菓子盆で黒塗り、という最小限の共通項だけなのです。記号ですらありません。

また、このようなネーミングにより負の部分の隠れ蓑となっています。ケヤキと黒とさえ言っておけば、ケヤキを使って黒塗りしたものだと受け手は思います。そこを利用しているわけです。「木と漆を使った、地球に優しい器だよ」というイメージを発信しているのですが、実際は木と漆の他にポリサイトサーフェーサーや石油溶剤や顔料を惜しみなく使い、コストダウンを実現しているところがほとんどというのが実態です。

名前をつけるという行為は、それがそれであるための印であり、区別することです。
あたりまえなのですが、漆器ではおろそかになっています。

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Tsuyoshi Kotaniguchi
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