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私がグッドデザイン賞に応募しない理由
2007年03月25日 - 漆器雑感
私の父は6年連続計8アイテム受賞しました。私は1点も受賞していません。おそらく今後も。なぜか。端的に言いますと、グッドデザイン賞におけるグッドが、私の考えるグッドと異なるからです。
以前も書いたことがあるのですが、かつて父が受賞していた時代のグッドデザイン賞は、まともでした。漆器は木でできています。なので、しっかりと木地が乾燥していないと次第に変形してきます。というわけでグッドデザイン賞は数多の工芸公募展でも実施しないことをしていました。プロダクトデザインとは、単なる見た目のかたちだけではないからです。具体的には、漆器に穴を開けて内部の水分含有率を調べていたのです。ある数値以上に水分が含まれていたら、オシャレなかたちでも受賞できません。また、熱湯を注いで漏れや変色がないかといったことも検査しました。話は逸れますが、漆器に熱いものを注ぐと変色したり割れたりするというイメージがあるのは、熱に弱い粗悪なものばかり市場にあるからです。話を戻すと、そこがグッドデザイン賞のすばらしいところであり、価値のあったところでした。多くの漆器製造者は受賞できません。また、工芸の公募展で応募してきた漆器すべてに穴を開けるなんて、最高賞を受賞すること間違いなしの人間国宝作家が許しません。
でも今は、何ひとつ検査をせず完全に見た目だけで選んでいます。念のために付け加えますが、私にとって見た目とは、持ったときの感触や馴染み方なども含まれています。それらすべて合わせて「かたち」ができるからです。使いやすさなどは、もの単体を什器にぽん置きしただけでは判断つきません。でも、使いやすさを判断できるすばらしい能力を持つ人がたまにいらっしゃるようです。
グッドデザイン賞は経済産業省の外郭団体である日本産業デザイン振興会が実施していて、1998年に民営化されました。これは私の感触に過ぎないのですが、そこから(私にとって)おかしくなり始めたような印象があります。現在グッドデザイン賞の企画運営は広告会社が手がけています。毎年同じというわけではないのですが、マインドシェアが多いです。選考委員は一般的知名度のある顔ぶれ。グッドデザイン賞とは、集客イベントを手段とするビジネスなのです。一次選考を通過したものを一同に集めて一般来場者が見ることができるという「グッドデザインプレゼンテーション」の来場者が前年よりも増えれば「成功」となるわけです。会場が先に決まっていて、そこにぴったりと収まる数量が一次選考を通過するというのも単純な疑問です。
ちゃんとした選考をしなくなったということはハードルが低くなったということであり、応募する数も増えます。コンテストのステイタスをはかるときに、応募数というのは大きなポイントとなります。それも成功というか目標にあるはずなので、それで良いのでしょう。応募料金は、一次選考で1万円、二次(最終)選考で約4万円。ひとつ5万円です。そして、ほぼ一次選考は通過します。グッドデザインプレゼンテーションにおける一般来場者のためを思ってのことでしょう。ちなみに二次選考を兼ねたグッドデザインプレゼンテーションでブースや照明を追加すると、さらにお金がかかります。最近の応募数は3000点。エントリー料収入だけで1億5000万円をたたき出す見事なビジネスモデルです。たぶん、その中からグッドデザインプレゼンテーションの会場費や印刷物、もしかすると審査員への謝礼などがまかなわれます。
今では、私から見ると明らかに粗悪なものや何の変哲もないもの、漆器でいえば漆器のはずなのに漆塗りでないものも「かたちが新しい」とか「来場者の反応が良かった」から受賞しています。選考委員もデザインの大御所であり漆器のプロではないので、内部の水分がどうだとかいちいち調べるわけがありません。おまけにグッドデザイン賞の対象はテレビ番組や地域振興策などにまで広がっています。
ものすごくハードルを上げて、たとえば漆器なら日常生活で1万回(1日3回使って9年ほど)の使用に相当するくらい延々と機械で摩擦するといったことまで全カテゴリにわたって徹底したら、応募数が100点くらいになってしまって、そうなるとエントリー料収入は500万円。日本産業デザイン振興会の中の人たちは困ってしまいます。
でも私は、父の頃よりもハードルを上げていただきたいと思っています。
そうすれば応募してみようと思うかもしれません。
以前も書いたことがあるのですが、かつて父が受賞していた時代のグッドデザイン賞は、まともでした。漆器は木でできています。なので、しっかりと木地が乾燥していないと次第に変形してきます。というわけでグッドデザイン賞は数多の工芸公募展でも実施しないことをしていました。プロダクトデザインとは、単なる見た目のかたちだけではないからです。具体的には、漆器に穴を開けて内部の水分含有率を調べていたのです。ある数値以上に水分が含まれていたら、オシャレなかたちでも受賞できません。また、熱湯を注いで漏れや変色がないかといったことも検査しました。話は逸れますが、漆器に熱いものを注ぐと変色したり割れたりするというイメージがあるのは、熱に弱い粗悪なものばかり市場にあるからです。話を戻すと、そこがグッドデザイン賞のすばらしいところであり、価値のあったところでした。多くの漆器製造者は受賞できません。また、工芸の公募展で応募してきた漆器すべてに穴を開けるなんて、最高賞を受賞すること間違いなしの人間国宝作家が許しません。
でも今は、何ひとつ検査をせず完全に見た目だけで選んでいます。念のために付け加えますが、私にとって見た目とは、持ったときの感触や馴染み方なども含まれています。それらすべて合わせて「かたち」ができるからです。使いやすさなどは、もの単体を什器にぽん置きしただけでは判断つきません。でも、使いやすさを判断できるすばらしい能力を持つ人がたまにいらっしゃるようです。
グッドデザイン賞は経済産業省の外郭団体である日本産業デザイン振興会が実施していて、1998年に民営化されました。これは私の感触に過ぎないのですが、そこから(私にとって)おかしくなり始めたような印象があります。現在グッドデザイン賞の企画運営は広告会社が手がけています。毎年同じというわけではないのですが、マインドシェアが多いです。選考委員は一般的知名度のある顔ぶれ。グッドデザイン賞とは、集客イベントを手段とするビジネスなのです。一次選考を通過したものを一同に集めて一般来場者が見ることができるという「グッドデザインプレゼンテーション」の来場者が前年よりも増えれば「成功」となるわけです。会場が先に決まっていて、そこにぴったりと収まる数量が一次選考を通過するというのも単純な疑問です。
ちゃんとした選考をしなくなったということはハードルが低くなったということであり、応募する数も増えます。コンテストのステイタスをはかるときに、応募数というのは大きなポイントとなります。それも成功というか目標にあるはずなので、それで良いのでしょう。応募料金は、一次選考で1万円、二次(最終)選考で約4万円。ひとつ5万円です。そして、ほぼ一次選考は通過します。グッドデザインプレゼンテーションにおける一般来場者のためを思ってのことでしょう。ちなみに二次選考を兼ねたグッドデザインプレゼンテーションでブースや照明を追加すると、さらにお金がかかります。最近の応募数は3000点。エントリー料収入だけで1億5000万円をたたき出す見事なビジネスモデルです。たぶん、その中からグッドデザインプレゼンテーションの会場費や印刷物、もしかすると審査員への謝礼などがまかなわれます。
今では、私から見ると明らかに粗悪なものや何の変哲もないもの、漆器でいえば漆器のはずなのに漆塗りでないものも「かたちが新しい」とか「来場者の反応が良かった」から受賞しています。選考委員もデザインの大御所であり漆器のプロではないので、内部の水分がどうだとかいちいち調べるわけがありません。おまけにグッドデザイン賞の対象はテレビ番組や地域振興策などにまで広がっています。
ものすごくハードルを上げて、たとえば漆器なら日常生活で1万回(1日3回使って9年ほど)の使用に相当するくらい延々と機械で摩擦するといったことまで全カテゴリにわたって徹底したら、応募数が100点くらいになってしまって、そうなるとエントリー料収入は500万円。日本産業デザイン振興会の中の人たちは困ってしまいます。
でも私は、父の頃よりもハードルを上げていただきたいと思っています。
そうすれば応募してみようと思うかもしれません。
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コメント
- 2007-03-27 |
- ■kota■
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- [ edit ]
いつにも増してこれはまずいwww
- 2007-03-26 |
- i
- URL
- [ edit ]
強い関心を持ちます
ご無沙汰しております。
非常に強い関心を持ちました。
より詳しく知りたいと思いますので、自分でも調べてみたいと思います。
非常に強い関心を持ちました。
より詳しく知りたいと思いますので、自分でも調べてみたいと思います。
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多摩のいずみさんのような職業の方が興味を持たれるのは嬉しいというか心強いというか、とにかくありがとうございます。私は内部を暴露する意図は全くないんです。非常にシンプルな、良いデザインとは何かということについての考え方の違いです。知人や取引先から質問されたときに答えてきたことです。
>i様
知人がいるから全面的に同意する、というのは、知人が増えてくると維持することが難しくなります。私の場合ですが。知人は個人として認めたり尊敬しますが、それはそれ、これはこれ。通産省特許庁時代にグッドデザイン賞を創設した平野氏のことは大好きです。